pale blue dot6

今よりもっと小さな頃、父の肩の上に座らされて星を見ていた。古くなってその使命を終えた人工衛星を今夜、大気圏に再突入させて燃やし尽くすという。それはちょっとしたイベントになる筈で私はその様子を見ようと父に望遠鏡をねだっていた。

またたくだけの星の中にすぅっとなんのためらいも無く視界を横切る星があって私は父に「なぁに」と聞いた。「あれが人工衛星だよ、地球の回りをいつまでも回っているんだ。そして夜になると本当の星になって光るんだよ。」手を伸ばせば届きそうなほど輝く完璧な星空の中でただ一つまっすぐに動きつづけるそれがひどく悲しくて私は涙ぐんでしまった。父はどうしていいかわからずにオロオロとしていたが広く厚い胸で私を包むと背中に廻した腕でリズム取るように一つ、二つと優しく叩く。父のなかで私は星になって地球を回る。無数の星達のなかで地球にとらわれた人工衛星のように。

やがて東の空に薔薇色の輝きが満ちて空はやはり完璧な青色になる。そしてその濃紺と青の挟間で一瞬白く輝く光があった。使命を終えた衛星が律儀に最後の役目を果たしたのだ。そして動きつづけるもう一つの衛星はやがて完璧な青の彼方に消えた。





and I sing songs of love
Love for a life,
That shines in the sun
Glows in the dark

…彼の唇はこう動いた。「ナンノウタ?」なんでもないの、と答えてリヴァイアスにいる私は物思いにふける。父はリヴァイアスのことを「夜になると光るんだよ」と言うだろうか?それともあの日見た完璧な青があの夜の人工衛星のようにリヴァイアスの光を打ち消してしまうのだろうか?

リ−ベデルタの学生の間にあった救助への希望はパ−ティの終るころ消えた。私達の光を消したのは決して青い輝きなどでは無く、ほの暗い情念と未来へのやるせない希望だったことが後にわかる。父はリヴァイアスは地球からは見えなかったと言った。


--------------------------------------------------------------------------------
トリノ > 名無し少年の彼女の語りでしょうか…? (2000/08/05(Sat) 13:55:00)
ほろほろ > トリノさん>この話ってム−ドで書いてるだけなんで無関係の人かも知れません。^^;雰囲気を共有してればそれでい−や、という感じです。 (2000/08/06(Sun) 01:34:29)
すぴんねっと > 上手いなぁ・・・。非常に切ないですね。その文才でもって、何卒私の代わりにハードボイルドなロント君を(爆) (2000/08/06(Sun) 01:38:37)
ほろほろ > いや、人のネタ取っちゃ悪いですから。(笑>すぴんねっとさん (2000/08/06(Sun) 16:15:07)

作者別index
総合index
小説入口
top