pale blue dot 2.5

ユイリイ・バハナのメ−ルボックスはいつもいっぱいだ。

悪意の無い悪戯、陳情、苦情、提案、(あきらかな)嫌がらせ、エトセトラ、エトセトラ…メ−ルが途切れることは無いから、彼女のメ−ラ−はいつもこう表示する。「未読メ−ルが?件あります。受信しますか? Yes or No」そして(彼女が思うところの)大事なメ−ルはいつも多数の(やはり彼女が思うところの)どうでもいいメ−ルに埋もれてしまう。「??byte受信済み。残り容量???byte」クリック、クリック、クリック、受信は終らない。

リヴァイアスの航海も既に五ヶ月をこえた。ルクスン・北条がブリッジを追い出され、エア−ズ・ブル−は…エア−ズ・ブル−の姿は何処にも見えない。彼女、ユイリイ・バハナは周囲からの推挙により艦長へと就任するも状況を好転させることはできない。リヴァイアスは不満と不安、倦怠を乗せゲドゥルトを行く。そして艦長へと就任した彼女のもとには更に多くのメ−ルが届く。「未読メ−ルが?件あり…」返信済みマ−クのつかないメ−ルが増え始める。「??byte受信済み。残り…」

クリック。「このメ−ルを削除しますか? Yes or No」Yes Yes Yes Yes Yes Yes…おかしなSubjectを見つける。「涙の出ないたまねぎの切り方」「虹の端へ行く方法」「冷え性のペンギン」「痩せて見えるデザインの服」「マンゴ−の美味しい食べかた」、なんなのよ、いったい。彼女はふと思いついて検索を開始する。メ−ルは艦内の違う場所から送信されてきている。ただ送信者のアドレスは同じもののようだ。ルクスンの失脚の後、火星圏での戦闘の後、ブル−失脚の後、艦長就任の後にそれぞれ送信されている。…しばらく考えこんでいた彼女がふいに微苦笑を浮かべる。彼女は慰められていたようだ、誰とも知らない人間から、こんなふざけた方法で!

結局のところそのメ−ルに彼女が慰められたかどうかはわからない。ただ彼女のメ−ラ−の送信欄にはいまでも「送信済み」マ−クのつかない一通のメ−ルが残っている。Subjctは「親愛なるP.Cへ」
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