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jazz2(仮題) 捕虜の尋問により新たな事実がいくつかわかったが現状を打開するような情報は得られなかった。そんななかで一つ目を引いた証言はこの実験的にテラフォ−ミングされた小惑星が超長距離移民船用の環境保持技術開発の中核を担っていたというものだった。事実リヴァイアスに装備された生命環境維持システムの一部はここで開発されたものだ。そしてもう一つの証言がクル−の目を見張らせた。暴走して封印されるまえのリヴァイアスがこの惑星に係留されスフィクスとの同調実験も行われていたという事実だった。 「生まれ故郷ってわけか」 「いや、せいぜい第二の故郷か昔の女のいた街だろ」 「体験談かよ」 「混ぜ返すな」 今や堂々とリヴァイアス前面に展開した軍隊はその後も侵入を試みたがことごとく重力フィ−ルドを利用したトラップに跳ね返された。指揮を取る大隊長は内心クル−のソリッドと整備の技術に舌を巻いていたが部下には作戦の継続を指示さざるを得ない立場だった。 数十時間が過ぎて既に侵入行動も数十回を数えた。その全てを撃退したリヴァイアスクル−の士気は高い。特に直接重力フィ−ルドを操るVG要員、そしてトラップの設置と艦内の整備に追われる整備課のそれは疲労を感じさせないものだった。だが総指揮を取るツヴァイには別の問題が生じている。つまり、負けない戦闘はできる、だが勝つためにはどうしたらいいのか。 「スフィクスはまだ見つからないのか?」 「艦隊戦以来、消息不明です」 「重力フィ−ルドの稼動率は?」 「降陸時の無理もありますしスフィクスとのリンクが途絶えがちなので、平時の50%がせいぜいですね。大規模な展開、特にこの小惑星の引力圏から脱出するほどの重力場は展開できません」 沈黙の後にややあって問う声が聞こえる。 「まさかスフィクスが既に艦外へ連れ出されている、という可能性はないだろうな」 先の沈黙よりももっと深い沈黙がツヴァイに降りるが冷静な声がそれを破る。 「その可能性は少ないかと。少なくとも我々はまだ重力フィ−ルドを展開する力を持っています。これはスフィクス以外の力ではあり得ませんから」 結論は結局スフィクスとのリンク回復を待つしか方法はないということだった。また地形デ−タがリヴァイアスの電子ライブラリから発表されたが特筆すべきことがらは見つからなかったが、地下に大水道路を敷いてそこから取水している、とのこと。水の心配はないようだった。そして今更ではあるが人員をかき集めて同調の回復を命ずる。このごろではスフィクス、そしてヴァイアの研究も進み、ヴァイアが人間の脳のシナプスの動き、そして代謝活動を監視することにより感情を読み能力を艦へと仮託しているのではないか、という推論が証明されはじめている。そこでメンバ−は妨害電波の中にヴァイアへの同調を妨害する電波が流されているものと仮定して分析をはじめる。電波をそれぞれライブラリのストックと比較し同定していく。暗号化されたものは暗号ごとの同定をする。酷いノイズにまざったそれが見つかったのは作業開始からどれほどのときだったろう。それは宇宙で沖田ともが見つけた「歌」だった。 沖田ともは疲れきっていた。女性ではあるが男性と遜色のない働きを見せリヴァイアスの損傷をチェックし無視できるもの、その場で修理できるもの、応援を呼ぶもの。優先順位を決め次々に整備課へとくる要請を潰していく。そんな作業の合間に数十時間ぶりでがらんとした整備課の部屋で食事をしていたそのときだった。ふとIDカ−ドで要請事項を確認しながらプロテイン入りのミルクをすすっていると奇妙な「歌」電波を思い出したのは。ともはIDを有線で手近なホストPCにつなぐと解析を待つ。ストロ−がズズッと音を立てるころ解析が終った。やはり歌だった。 場違いな子守唄が出払って誰もいない整備課の部屋に流れる。 「なに、これ…馬鹿にして」 「キ、カ、セ、テ」 背後に急に感情のない声がして驚いたともが振り向くとそこには消息不明とされていたスフィクス、ネ−ヤが浮いていた。驚いて声の出ないともを無視するかのようにネ−ヤはIDにふれるとビクンと体を震わせて「アアッ」とつぶやき壁を抜けて消えてしまう。ミルクの紙コップを握ったともの目にはメタルパ−プルの残像が残りIDからは件のデ−タが消えていた。 R.E.O.スピンネットは自室に帰らなかった。自分から何かすることは無かったがメイヤ・フォスターやリュシ−ヌ・F・セオドアが仕事に出ていくのを居住区画出入り口のスタンドで見送り疲れて帰ってくるのを出迎えた。彼が何をしているのかはわからなかったが彼女らがそこを通りかかるといつもそこにいた。リンクス・ワイルドキャットが(疲れながらも)減らず口でからかうと、何もしてないよ、それだけを言った。 この日、数度目の侵入が失敗して遂に大隊長は決断を下した。それは上空に展開している小艦隊への指令だった。リヴァイアス正面に展開する部隊の引き上げを確認すると衛星軌道上に展開した艦隊からの地上制圧射撃が始まった。 「見ろよ、手も足も出ないとわかって逃げてくぜ!」 「へっ、リヴァイアスは無敵だからな」 空を見上げれば幾すじもの光線が見えただろう。衛星起動上から射撃された有質量弾が大気との摩擦で熱と光を発しているのだ。ブリッジに近いレ−ダ−室で絶叫が起こる。 「上空に高エネルギ−反応有り!制圧射撃です!」 「リフト艦!上空500メ−トルに円錐系にフィ−ルドを張れ!流すんだ!」 この制圧射撃により戦況は三度変わった。この砲撃により膠着状態は一気に崩れることになるがそれがどちらの側へ崩れるのか正確に予測できる人間はこの場に誰一人いない。 「フィ−ルド展開!」 「駄目だ!一発漏らした!」 「船尾最外壁部隔壁を落とせ!衝撃にそなえよ!」 この戦闘始まって以来の直撃弾がリヴァイアスを揺らす。簡易ゲドゥルト服の着用のおかげで予測されたよりも死者は少なかったがそれでも多数の怪我人が看護課の手を奪うことになる。そして地上観測を継続していたレ−ダ−がエマ−ジェンシ−コ−ルを叫ぶ。退いたかに見えた地上部隊が第一次砲撃の終了とともに牙を剥いて襲いかかってきたのだ。 「くそったれっ、今、地上からこられたらお手上げだ!」 ブリッジクル−の一人がわめく。すると隣のクル−が殴り飛ばしていう。 「ガタガタ、うるせぇんだよ!リヴァイアスを信じろっ!」 一瞬崩れかけたブリッジがその一言で秩序を取り戻す。そうリヴァイアスは少なくともまだ負けたことのない艦なのだ。殴り飛ばされた男がつぶやいた言葉は痛みで音声になることはなかったが皆、考えていることは一緒だった。 「ネ−ヤは、どこに?」 -------------------------------------------------------------------------------- 鳥乃 > とも嬢が見付けた子守唄…ネーヤにとって何なんだろう…? (2000/10/08(Sun) 00:18:41) すぴんねっと > 何もしない、何もできないなりに、してあげられること、か・・・。う〜ん、考えもつかなかったなぁ。今回もSFしてるし、やっぱり面白いですね。私も勉強しようかなぁ(^^;) (2000/10/08(Sun) 02:44:21) ぐちゃ > ネーヤ、いったい何を?誰だ?殴ったブリッジクルーって。 (2000/10/08(Sun) 03:18:43) ひじり > 整備課もトラップ張るのか、やっぱり(笑) このテンポ、リズムが好きです。なんというか、綺麗に読めて。 (2000/10/08(Sun) 19:32:53) ゆうきゃん > SFを書いてみたいが、知識無し(爆)こういうテンポは心地よいですね。勉強になりますです。 (2000/10/09(Mon) 10:55:18) ほろほろ > うへぇ〜〜。ちょこっと気抜いたらぺ−ジが変わっちまったい。(←何故か伝法^^;) 鳥乃さん>次回、最終話なんでそこであきらかに!ついでにヴァイア理論も明らかに! すぴんねっとさん>お褒めにあずかりまして。^^;でも実際、他人が他人にできることってこれくらいだと思うし、それくらいで充分な関係に憧れているので。 ぐちゃさん>ネ−ヤ、すねてるだけです。(をい) ひじりさん>本人はテンポめためたで書いてます。^^; ゆうきゃんさん>SFとして読まれると穴だらけなんで、そう言われるとかえって辛い。^^; (2000/10/10(Tue) 00:31:58) 高原ユウ > SFというか、スペオペなのか?(笑) (2000/10/10(Tue) 03:48:30) ほろほろ > スペオペかなぁ?次回は空想科学読本ですけど^^;>高原さん (2000/10/10(Tue) 13:17:40) |