pale blue dot8

眠れない、言葉にならない、脈絡のない夢を見たことだけ覚えている。

一日の終りに拭い去ることのできない疲労を薄くまとったまま冷たいシ−ツに体を添わせるとそのときだけは火照った肌の奥がしんと静まるような、そんな心地よさを覚える。でも、それも自分の熱がシ−ツの隅々までを侵食していくまでの間だけだ。熱がシ−ツ全体を火照らせ、そして僕はまた夢を見る。たぶん悲しい夢なんだろう。それは子供の頃、初めて一人で寝た夜に母を慕うようなそんな悲しさなんだ。

リ−べデルタ崩壊から数ヶ月ピ−クに達したと見えた乗員の疲労だったがそれでもまだ人間は疲れることができる。疲労に疲労を重ね徒に刺激しあい反発しあう。状況は過酷だが人を絶望に追いやることができるのはやはり人だけだ。最近は誰とも目が合わないで一日が終る。作業をしていても食事をしていても、馬鹿みたいに抱き合う彼女すらも目を合わせようとしない。人が人を駄目にする。

作業は水浄化システムの点検だった。大きな水槽がいくつも並んでいるそこへパイプから廃水が流れ込んで濾過層をくぐり透明な生命感の希薄な清潔な水に変わる。その水は味がなくてそのまま飲むと苦い後味が残る。それでも流れる水と溜まった水。心地よく肌寒いひんやりと湿ったその部屋に入ると熱が薄れていくのを感じる。僕は監視役の目をかすめてソリッドを組むとパイプラインの制御を変更した。

作業後、彼女を連れ誰も使わなくなったバスタブを覗きこむ。透明な水を静かにたたえてバスタブは僕達をを待っていた。服を脱いで浅いバスタブに二人で身を横たえると微熱で澱んだ血液が緊張感を解いて静かになったような気がする。冷たい水の中で鼓動が近付いて、今は、何も考えない、明日のことも、二人のことも、ただ水に眠った。夢の悲しさが少しだけ甘やかだった。

尾瀬イクミが艦内を掌握してリヴァイアスクル−はリヴァイアスという区切りを外れ機械のように能力で選別され視界に映る人間はみんな自分と同じ能力の連中だけになった。別の体なだけで同じ表情を張りつけた人間に囲まれて僕は一人になった。

考える必要の無くなった僕は夢を見ないで眠る、夢なんて見るもんか。


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鳥乃 > 明日も夢もいらない…? (2000/12/29(Fri) 20:39:46)
ぐちゃ > やっぱり人間は機械にはなれない (2000/12/30(Sat) 03:44:41)
すぴんねっと > おお! paleの第8話・・・♪ TVの時の雰囲気出てるなぁ・・・上手いなぁ・・・。 (2000/12/31(Sun) 00:47:50)

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